共感するとはどういうことか?

人材育成やコーチング、そしてマネジメントの場面で、「共感」という言葉はよく使われます。しかし、この「共感」が示す意味を理解し、体感するほどに、これは奥深いと思うのでまとめてみます。

まずは、国語辞典を。似て非なる「同情」と比べてみると、

「共感」とは、他人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。また、その気持ち。
「同情」とは、他人の身の上になって、その感情をともにすること。特に他人の不幸や苦悩を、自分のことのように思いやっていたわること。

一般的には、「共感」という言葉は、肯定的な意味合いで捉えられると思います。一方で、「同情」は、肯定的に感じる方もいるとは思いますが、上から目線、偽善的というような否定的な感情を持つ方も多いと思います。

例えばです、

Aさん:左腕を骨折したの。痛いわ。
Bさん:さぞかし痛いだろうね。
Cさん:左腕でよかったね。利き腕だったらもっと大変だったね。
*Bさんは共感 *Cさんは同情

Aさん:長男の太郎が学校に行かなくなってしまったの。
Bさん:大事なことを話してくれてありがとう。とても心配だね。
Cさん:それは心配だね。でも少なくとも妹の花子ちゃんは楽しそうにしているしよかったね。
*Bさんは共感 *Cさんは同情

つまり、「共感」は、字のごとく、”共に感じる”
一方で、「同情」は、”なんとなくかわいそう”という感覚がうっすら漂ってしまうんです。

「少なくともよかったね」というのは、相手にとって何の良いこともないんです。だって、今まさに悩んでいることとは違うんだから。でも、同情って、無意識に悪気なく、日常で使ってしまっていないですか?私はちょっと怖くなりました。

 

ここで、とてもよい研究があったのでご紹介したいと思います。

看護学者のTheresa Wiseman氏が、「共感の4つの特質」というものを提言しています。

1、To be able to see the world as others see it
(相手が見ているものをそのまま受け止める)
2、To be nonjudgemental (判断しない)
3、To understand another person’s feelings (相手の感情を理解する)
4、To communicate our understanding of that person’s feelings
(理解した相手の感情を相手に伝える)

 

共感するということは、相手が見ているもの、見ている世界が、その人にとっての真実だということをまず認知すること。極端にいうと、その人が人生終わりだと言ったら、まず真実としてそれを受け止めるのです。

そして、判断しない。「大丈夫よ、大したことないわ。」「別れた相手なんか忘れなよ。その人はあなたには向いていないよ。」いやいや、本人は、大したことあると思っているし、その別れた彼は自分にぴったりの人だと思っているんです。

相手のためを思っての声がけだったとしても、本質的には、共に感じていないんです。(もちろんそれで励まされる場合はあると思いますが!)そして残念ながら、どんないいメッセージであったとしても、相手の心がオープンでないと、そうそう記憶には残らないものなのです。

できることは、相手の感情を理解しようとすること。「ああ、痛いよね、悲しいよね」と。それを心からする。心からというのは、自分自身もその気持ちとも繋がり、その気持ちを共に体感することです。

そして、その理解した感情、相手にとっての事実、を相手に伝えること。
嬉しいことであっても、悲しいことであっても、人は自分の感情に往々にして気づきづらかったりします。気づいていても、時には見つめることが難しいこともあるでしょう。こちらが受け取った相手の感情を伝え、相手がその感情を味わい切り、次の向かえるまで寄り添います。

 

 

相手の感情を受け止め、共に感じ、共にいること。これが共感。

 

・・・ね、「共感」深くないですか?

Make something better is connection.

追伸:共感しただけでどうなる?みたいな声も聞こえてきそうですが、それはまた別の話かなと思います。共感の先に何が見えるか、何を起こせるかはまた機会を見つけて書いてみたいと思います。

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