関係の質が変革の土壌を生む 〜イノベーションと心理的安全性のつながり〜

こんにちは。LifeStocksの狩野真依子です。今回はイノベーションと心理的安全性に焦点を当てて、コラムを綴ってみたいと思います。
「もっと挑戦してほしい」「新しい取り組みを生みたい」・・・組織変革やイノベーションを語るとき、そんな言葉がよく聞かれます。一方で、実際の現場では、「失敗が怖い」「どうせ通らない」「空気を読んで言わない方がいい」という声が聞こえてくることも少なくありません。
実は、新しい挑戦が生まれるかどうかは、人と人との“関係の質”に大きく左右されます。
制度や仕組み以前に、関係という「土壌」が整っていなければ、どんな種も根を張ることができません。なぜならば、新しい挑戦とは、未知への一歩であり、共同での実験だからです。
意見を出し合い、試行錯誤を繰り返し、時に失敗をも乗り越え、試みを芽吹かせていく。このプロセスは、「この場で自分を出してもいい」と感じられる関係性、つまり心理的安全性を前提にしています。
心理的安全性は前提条件
イノベーションと言うと「新しい技術」「斬新なアイデア」に目が向きますが(もちろんこれも大事)、現実には上で述べたように——
「違う立場同士が、ちゃんと話せているか?」
「誰が何を言っても、耳を傾けようという姿勢があるか」
「互いの思いを、どこまで理解しようとしているか?」
「お互いに相手の可能性を信じているか」
こうした心理的安全性の高い、関係性の質こそが、創造の源泉になります。
関係性がしっかりしているチームでは、異なる視点がぶつかっても、それが「対立」ではなく「対話」になります。そして「協業」から「共創」へと進化します。
多様な視点が交差する中で“思いがけない組み合わせ”が生まれ、一人ではたどり着けなかったアイデアが浮かび上がり、それがイノベーションの種となるのです。逆に、関係性が壊れていると、「見られている」「評価される」「間違えたくない」といった“防衛的な態度”が広がり、創造的な言動は閉ざされていきます。

関係性の質は高めることができる
ある企業では、縦割り意識が根強く、自組織・自領域に対する責任感は強い一方で、他の組織や領域には「口を出さない・出させない」という風土がありました。
しかし、互いの立場における苦労や工夫、それぞれの想い、さらにはお互いに対して感じていることを率直に共有する場を設けたことで、関係性が一気に変化しました。
「お互いもっと踏み込んでみよう」
そんな声が自然と生まれ、会話は“情報交換”から“協働”へと進化していったのです。
一見遠回りに見えるかもしれませんが、まずは「関係性に投資すること」が何よりも大切です。
問いかけ、耳を傾け、信頼を少しずつ積み重ねていく。
その積み重ねがやがて場の空気を変え、チームの行動を変えていきます。
関係の質が変わった瞬間、場に流れるエネルギーが変わるのを、私たちは確かに何度も見てきました。信頼・敬意・共感・共通の目的意識といった目には見えないけれども、確かにある“絆”が、やがて挑戦を歓迎する組織文化の核をつくっていくのです。
今回もお読みいただき、ありがとうございました!もし、みなさんのチームや職場の中で「もっと関係を良くしたい」「イノベーションを生む風土を育てたい」そんな思いがあれば、ぜひお気軽にご連絡ください。